大人の休日~福島とD1と喜多方ラーメンと~
後輩「先輩、チケット取ったんで、福島県へD1見に行きますよ!」
僕「え……」
というわけで。
D1の聖地らしく、観客は少ないものの、本当に好きなんだなぁという人ばかり。
動物園の中にあるので、ちょっと驚いたな。
しかし……朝早かったんだよね……。
とは言え、僕は後輩の車でぐっすり寝てただけなのだけれど……。
東京から福島までは300kmほどあった。
同期と後輩二人の計4人での旅は、普通の土日で遊ぶと言うかなり豪華なものとなった。
後輩が勝手にチケットを取ってきたのは、軽く「今度も行きましょうね」というのに空返事をしてしまったからだった。
にしても、この日ですから! というのは凄いな。
彼の性格診断で「周りを巻き込む力がある」というのは、間違ってなかった。
だけど、まあ、僕としてはこういうのはありがたい。
僕は誘ってくれないと、輪に混じれない性格なんだよね……。
いわゆる根暗って奴かな?
選手には、お台場で見た選手もチラホラ。
それにしても、凄く暑い。
風は涼しいのだけれど、日差しが肌を刺してくるような、そんな感じ。
蒸し暑くないから、熱中症は大丈夫そうだけれど、こまめに水分補給して、帽子で頭を守る。
後輩の持ってきてくれた、化学反応で冷たくなるナニかを首にあてながら、レースを観戦。
と、レースが始まる前に、適当に写真を何枚か。
レース用の車だから、公道を走ることは出来ないし、走るように作られてないから、たまに止まってしまうことも。
車の色もチームカラーとかあるらしい。
よく見ると、普通の車のボディーなんだね。
レース開始!
この前見たのと同じで、追走です。
今回の席は、網が無いので、普通にタイヤの破片が飛んできます。
僕のところにも飛んできた。
熱いことはないのだけれど、溶け始めっぽく、べたべたする。
芋虫サイズくらいある。
パシャパシャ撮りながら、4人で盛り上がり、酒を飲んでつまみを食い……最高ですね。
酒は同期がクーラーボックスみたいなのを持ってきてたので、常にキンキンに冷えてやがる。
響くエンジン音とタイヤの擦れる音、実況の盛り上がりに乗るように、熱の入る応援と拍手。
遠くで鳴く蝉の声をかき消すように、それら全てが僕の体を叩く。
遠くでは入道雲がゆっくりと動いていて、同期が「あっちの方は雨が降ってるかもなぁ」と呟くと、東京はどっち側にあるんだろう、とか、雨は降ってるのか、蒸し暑いのかなぁと、そういった色々な思考が流れ込んできた。
僕は今、福島県にいる。
そんな実感が、夏の暑さのように、ジワジワと湧き上がってくる。
お昼はソースかつ丼を食べた。
エアコンの効いた社内の中で、四人で日焼け具合を見せ合った。
真っ赤な奴、特に変化の無い奴、黒くなった奴。
「この後、温泉に行くんだけど、絶対痛いよなぁ」
なんて、話していた。
僕は、昔の事を思い出していた。
小学生の頃、家族で行った海。
強い日差しの中、散々遊んで入った風呂で「うぉぉぉぉ!」と雄叫びにも似た悲鳴を上げたあの日。
ヒリヒリと痛いけれど、日焼けしたという実感が、何故か嬉しかったあの日。
風呂はあまり好きじゃない僕だけど、ちょっとだけ、温泉が楽しみになった。
決勝戦は、相手の車が動かなくなると言うハプニングで幕を閉じた。
こんな熱い中で応援する僕たちよりも、エアコンの効かない車内でヘルメットをかぶり、エンジンの熱をもろにかぶる選手の方が、もっと大変だったであろう。
そんな選手たちに拍手を送り、僕たちは荷物を先に置くべく、ホテルへと急いだ。
パーキングエリアで休憩中、赤い夕焼けが雲に隠れてゆくのを、4人で見ていた。
「今日って、普通に土曜日なんだよね。明後日、仕事なんだよね」
と、何気なく零してしまう。
だけれど、誰もがっかりなんてしていなかった。
むしろ、これからが楽しくなるんだと言わんばかりに、車内は盛り上がりを見せた。
その通りで、温泉で散々はしゃいだ後、ちょっといい焼肉をラストオーダーになるまで食べ続け、酒を飲み、9月に予定している九州旅行の話に花を咲かせた。
普通の土曜日なのに、僕はこんなに贅沢をしている。
しかも、仲の良い4人、若い4人で。
それが、とてもとても楽しくて、嬉しかった。
次の日、やっぱり明日は仕事だし、混むことも予想して、早めに帰ろうという話に。
会津若松のホテルから、北の方へ数十分。
喜多方でお昼を食べてから帰ろうという事に。
喜多方といえば、喜多方ラーメン!
喜多方ラーメンの中でも、全国にチェーン店を構える、坂内食堂は本店だ。
既に行列が出来ていて、僕たちは雨傘を店員に渡されて、それを日傘代わりにして順番を待った。
日差しが強く、少しでも日に当たると、そこがすぐに日焼けする。
一時間ほどしてやっと店内へ。
せっかくなので、肉そばの大盛りをいただくことに。
かなり量があって、普通にすれば良かったと言うほど。
味はあっさりしていて、そのおかげでチャーシューが進む。
人生で一度は食べておきたい! そんな感じだ。
食べ終わった後は、民家風というか、民家を改造して作ったカフェで一息ついた。
8畳ほどの畳の間には、大きな机が一つあって、座布団を敷いて座ることが出来る。
その部屋は僕らしかいなくて、とても静かだった。
クーラーが付いていないのに、とても涼しくてびっくりした。
汗もかかないし、窓から通り抜ける風は、さながら自然のクーラー。
雰囲気も、どこかノスタルジックで、まるで田舎のおばあちゃんの家に来たような、そんな感じ。
……まあ、僕はそういう雰囲気を体験したことはないんだけど、そんな感じだった。
それからはひたすら東北道を東京方面へ走る。
東京に着いたのは夕方の6時ごろ。
「明日は仕事だぁ」
とか
「ここから帰るのもきついんですよ」
とか、みんなこれからの事に目が向いていた。
楽しかったけれど、僕たちには明日が来る。
いつまでも、楽しい思いではいけないんだなぁ。
まあ、たまにこういうのがあるから、何でも頑張れてしまうんだけれどね。
先ほど、9月17日~21日で九州ね! とラインが入った。
結構大がかりなイベントになるなぁ。
楽しみだ。
今まで生きてきた中でも、一番と言っていいほど贅沢で、長い土日を過ごした。
そんな、大人な休日でした。
ではでは!